極悪?Windows XP はダメで危険なOSなのか?

これは、永江一石さんの書かれた記事「XP使い続けるような会社とは絶対に仕事しないし、客にもなりたくない」に触発されて書きました。記事の趣旨に異論はないんです。ないんですが、読んでて感じた違和感がありました。まるで Windows XP が極悪人みたいです。「危険なXPを使い続けるのは、無知と言うより自分勝手きわまりないと思う」とか「XPからのメールはマジ、全拒否したい」とか。Windows XP って長期間シェアのトップを君臨し続けたOSがそんなに危険で、悪いOSなんでしょうか。

これは、永江一石さんの書かれた記事「XP使い続けるような会社とは絶対に仕事しないし、客にもなりたくない」に触発されて書きました。

永江さんの記事の趣旨に異論はないんです。ないんですが、読んでて感じた違和感がありました。まるで Windows XP が極悪人みたいです。

「危険なXPを使い続けるのは、無知と言うより自分勝手きわまりないと思う」とか「XPからのメールはマジ、全拒否したい」とか。

Windows XP って長期間シェアのトップを君臨し続けたOSがそんなに危険で、悪いOSなんでしょうか。

新しい機能にこそ穴は出やすい

新しいOSがいいのかといえば、必ずしもそうとは言い切れないと思います。

何故かというと、新しい機能にこそ穴は出やすいから。

大勢に使われ、何年も稼動しているシステムならそれだけ、バグは発見されつくされていて、穴がなくなっている可能性があります。それに比べ、テスト回数が少なくて、稼働実績が少ないものほど、見つかっていない穴が潜在している可能性は高くなります。

例として、F1マシンで考えてみます。ストーブシーズンに、昨シーズンのマシンとシェイクダウン中の、来シーズンのマシンを比べたらどうなるでしょう。

速いのは新しいマシンかもしれません。でもトラブルが出やすいのも新しいマシンじゃないでしょうか。そのトラブルをなくすためのテストがシェイクダウンなんだから。

シェイクダウンの初期に2台を比べれば、昨シーズンの1年間、実戦というテストを重ね続けた、古いマシンの方が安定しているんじゃないでしょうか。

ただ、もしも「好きな方に乗っていいよ」と言われたら、新しいマシンに乗りたいですけどね。

枯れたOSは安定している

インターネットの黎明期、今ではサーバー用OSで主流になりつつある Linux が出てくるまで、サーバー用途にはBSD系のOS、中でも FreeBSD が主流でした。

Linux が人気を得はじめた頃、多くの FreeBSD ユーザーが主張していたのが、こういう内容です。

FreeBSD はもう何年も止まらずに稼動しているサーバーがいくつもあって、信頼できる。

つまり、新しい Linux よりも、古くて実績のある FreeBSD の方が信頼できる。という主張です。

確かに、せっかく安定稼働していたのに、バージョンアップしたらおかしくなったという例はあります。

だから、この主張自体は正しいと思うんです。新人よりもベテランの方が信頼できる。

今のシステムに困っていないなら、いじるなという意見もあります。

発展するためには育てること

でも、その理屈を企業に当てはめた場合、疑問が出てきます。定年間近の社員しかいない企業に発展性はあるでしょうか。

発展するためには、信頼のおけない新人を、信頼できるようになるまで育てるしかないです。

現在では Linux は充分に発展し、安定しているし信頼されています。

考えてみれば、FreeBSD が何年も止まらずに稼動していたのは、世に出て何年も経っていたからであって、出てきたばかりの Linux が長期間稼動していなかったのは当たり前の話だったんじゃないのかな。

Windows XP はダメなのか

Windows XP のサポートがまもなく終了するけど、新しい Windows の方が安定しているのでしょうか。

さっき書いたように、新しい機能がある新OSの方が見つかっていない穴は多いかもしれません。

10年以上にわたって大勢にテストされ続けた XP が、Windows8 よりも安定している可能性はあります。

もしも、新機能にバグがあった場合どうなるでしょう。Windows8 の新機能にバグがあった場合、攻撃の被害に遭うのは Windows8 であって、XP は被害を受けません。

そういう事態が発生する可能性もありますね。

むしろ、セキュリティ・アップデートをしないなら、Windows8 の方が、より危険かもしれません。

それなら XP を使い続けても大丈夫なのでしょうか。重要なのはここです。

問題なのは修正されないこと

OSが古いこと自体には、何も問題はありません。問題なのは修正されないことです。

修正されないという事は、発展しないという事ですから。

セキュリティホールが見つかった場合、パッチが配布されて、Windows8 の穴は塞がれます。穴がひとつ塞がって Windows8 の信頼性は上昇します。

では、もしも Windows XP にまだ発見されていないセキュリティホールが見つかった場合はどうなるでしょう。

セキュリティパッチは配布されないので、被害に遭い続けることになります。ここが、重要です。

OSが古いことが悪いのではなくて、修正されない事が悪いんです。

「XPくんは悪くないんだからね!」

信用を得るための投資

検切れの車を運転して事故を起こせば、ただの事故より問題があります。もしも、車検切れの車を運用してる企業があれば信用失墜でしょう。同じ事はパソコンにもいえます。企業にとっては、車もパソコンも同じ道具ですから。

重要なのは、4月になれば Windows XP は車検の切れた車と同じだということ。車検の切れた車は点検に出さないといけないし、点検できないのであれば買い替えるしかないです。予算かかって苦しくなりますが。

そして、新しい機能が必要ならバージョンを上げるしかないという事があります。古いバージョンの機能だけで足りるならバージョンを上げる必要はないのかもしれません。機能が少ない方が安定稼働出来るかもしれません。

でも、顧客が望むサービスに対応できるだろうかという疑問があります。日に日に進歩する技術の中で、顧客満足度を考えた場合、古い機能だけで対応できるでしょうか。お客は、古いF1と新しいF1のどちらに乗りたいでしょうか。

ということで、定年間近の社員しかいない企業に発展性はないように、新しいパソコンにも投資をしないと発展しないし、信用されないのかもしれないな。なんて思ったのでした。

そういえば、Windows XP が出たばかりの頃、生まれて初めてパソコンを買うから、一緒に行って教えてと頼んだYさんは、アキバでノートのVAIOを抱きしめながら「絶対大事にする!一生このVAIOを使い続ける!」と感激しながら言っていたけど、まだ使っているのかな?